オヤマダエンジニアリング株式会社(岩手県盛岡市)木質チップボイラーの開発に挑んだ事例
岩手県盛岡市の設備工事会社、オヤマダエンジニアリング株式会社は、岩手県工業技術センターと共同で高含水率の木質チップを燃料とする温水ボイラーを開発し、森林資源を活かした環境貢献型の新分野に挑んだ。
設備業界の低迷から新分野を模索
岩手県盛岡市に本社を置くオヤマダエンジニアリング株式会社は、株式会社小山田工業所のボイラー事業部門を継承する形で設立された設備工事会社で、官公庁や民間企業のボイラー設備・空調設備・ポンプ設備などの設計・施工・メンテナンスを手がけている。建設・設備業界の低迷が続くなか、同社は環境事業への参入を試みたものの事業として伸び悩み、次の新分野を模索していた。
県の公募事業への採用がきっかけに
そうしたなかで契機となったのが、岩手県工業技術センターが募集した、高含水率の木質チップを燃料とするボイラーの共同開発事業だった。同社はこの公募に採用され、2年間にわたる共同開発を経て製造・販売を開始した。商品名は「エコモス」で、山林の林地残材や間伐材、製材端材をチップ化し、燃料として活用する温水ボイラーである。
着火時間の大幅な短縮を実現
開発にあたっての課題は、ボイラーの小型化と、水分を多く含むチップの安定した燃焼だった。海外製の既存ボイラーの多くは手動着火で通常燃焼まで5〜6時間を要していたが、着火バーナーを併用することで全自動運転が可能になり、通常燃焼までの時間を1時間程度まで短縮することに成功した。
県の研究機関と連携した開発体制
開発にあたっては社内組織を見直し、企画・商品開発をチップ開発プロジェクト課、営業を新設の営業課が専従、組立・据付施工を設計課・工務課が担当する体制を構築した。外部では、燃焼物の分析を岩手県工業技術センターに、木材乾燥実験を岩手県林業技術センターに委ね、ボイラーの製造は小山田工業所が担うなど、県の研究機関や関連企業と連携した開発・供給体制が敷かれた。
導入実績と燃費40%削減の成果
開発したボイラーは、岩手県営の屋内温水プールに導入され、森林組合から端材や間伐材をチップとして受け入れることで、重油に比べて燃費を40%削減する成果を上げた。モデル事業への選定が新聞やテレビで報じられたことで知名度が高まり、市町村や民間の温泉施設、学校・温水プールなどからの引き合いも増えたという。一方で、設備導入費が重油ボイラーに比べて高額であるため補助金なしでは導入提案が難しいことや、チップ燃料が規格化されていないため導入時に燃料の性状を確認する必要があることなど、普及に向けた課題も残されていた。
現在も岩手を拠点に事業を継続
オヤマダエンジニアリング株式会社は現在も岩手県を拠点に、ボイラー設備や空調設備、ポンプ設備などの調査・提案・設計・施工・メンテナンスを手がける設備工事会社として事業を続けている。森林資源に恵まれた地域の特性を活かし、環境負荷の低減と林業の活性化を両立させようとした同社の取り組みは、地域資源を新分野につなげる一つの試みとして参考になる事例である。
FAQ
オヤマダエンジニアリング株式会社はどのような会社ですか
岩手県盛岡市に本社を置く設備工事会社で、官公庁や民間企業のボイラー設備、空調設備、ポンプ設備などの設計・施工・メンテナンスを手がけている。株式会社小山田工業所のボイラー事業部門を継承する形で設立され、現在も岩手を中心に事業を続けている。
なぜ木質チップボイラーの開発に取り組んだのですか
建設・設備業界の低迷を受けて新分野を模索するなか、環境事業への参入がうまくいかなかった時期に、岩手県工業技術センターが募集した高含水率木質チップボイラーの共同開発事業に採用されたことがきっかけとなった。
開発したボイラーにはどのような特徴がありますか
水分を多く含む木質チップを燃料とする小型の温水ボイラーで、着火バーナーの併用により全自動運転が可能になり、通常燃焼までの時間を海外製の既存ボイラーに比べて大幅に短縮した点が特徴である。
どのような連携体制で開発が進められましたか
燃焼物の分析を岩手県工業技術センターに、木材乾燥実験を岩手県林業技術センターに委ねるなど、県の研究機関と連携。ボイラーの製造は小山田工業所が担い、社内でも企画・営業・施工の担当部署を新設・再編した。
導入によってどのような成果がありましたか
岩手県営屋内温水プールへの導入では、森林組合から端材や間伐材をチップとして受け入れることで、重油に比べて燃費を40%削減する成果を上げ、地域の林業活性化にも寄与した。
現在の状況は
オヤマダエンジニアリング株式会社は現在も岩手県を拠点に、ボイラーや空調・ポンプ設備の設計・施工・メンテナンスを手がける設備工事会社として事業を継続している。