株式会社奥田工務店(滋賀県日野町)介護・農業分野への新分野進出に挑んだ事例
滋賀県日野町の総合建設会社、株式会社奥田工務店は、本業で培った経営基盤をいかし、社会福祉法人として運営してきた介護事業の株式会社化と、荒廃する地元農地を活用した農業分野への参入という二つの新分野に挑んだ。
建設業の好業績を新分野に活かす
滋賀県蒲生郡日野町に本社を置く株式会社奥田工務店は、住宅から高層マンション、公共施設まで幅広く手がける地域の総合建設会社である。建設業の多くが厳しい経営環境に置かれるなか、同社は本業で堅調な業績を維持しており、その余力をいかして福祉・農業という異分野への進出を図った取り組みが、建設業の新分野進出・経営革新等モデル構築支援事業の選定事例として取り上げられている。
社会福祉法人としての介護事業を株式会社の枠組みへ
同社は以前から、グループホームやデイサービス、居宅介護などを行う介護施設「ゆめさと」を社会福祉法人として運営してきた。ロッジ風の食堂を備えるなど、利用者が落ち着いて過ごせる環境づくりに配慮した施設だったという。取り組みでは、こうした社会福祉法人としての運営実績を土台に、株式会社としても同事業を本格化させることを目指した。介護施設の建設自体、本業の技術をいかせる領域でもあり、社会福祉法人での運営経験があったことから、株式会社としての事業運営にも大きな障害は感じなかったとされる。
荒廃する地元農地への対応として農業分野にも参入
同時に着手されたのが、農業分野への参入である。背景にあったのは、後継者不足によって地元の農地が荒廃しているという地域の課題だった。同社は本業の土木部の一部を農業部として位置づけ、農家出身の従業員が持つノウハウを社内で共有しながら、休耕地を活用した稲作事業に取り組んだ。建設会社が農業に乗り出すのは初めての試みだったが、社内に農業の知見を持つ人材が複数在籍していたことが、事業立ち上げの支えになったという。
民間ならではのサービスと地域活性化を目標に
介護事業では、福祉事業を専門に手がける関連会社を新たに設立し、一級建築士の施設長のもとで本社からも運営スタッフを派遣する体制を敷いた。競合となる公的機関の介護施設に対し、社会福祉法人としての運営経験を土台に、民間ならではの質の高いサービスを追求する方針が掲げられた。農業事業についても、安全・安心を求める消費者ニーズに応える農産物づくりを目指すとともに、新卒者や定年後のシニア人材の採用を通じて事業を拡大していく構想が描かれていた。
課題を抱えながらも継続する多角化への挑戦
取り組み当時、介護事業は順調に推移していた一方、農業部門は赤字が続いており、稲作に加えて地元特産の薬草栽培の再興を模索するなど、収益化に向けた模索が続いていたことも記録されている。社会福祉法人に比べて株式会社には税制上の制約が課されるなど、制度面の違いが新規事業の障害になっている面もあったという。それでも、本業の建設事業が堅調であることを背景に、地域に根ざした福祉・農業への挑戦を続ける姿勢が示されていた。
株式会社奥田工務店は現在も滋賀県日野町を拠点に、住宅から高層マンション、公共施設、道路整備まで手がける総合建設会社として事業を継続しており、自社ウェブサイトでも事業内容を紹介している。建設業の枠を超え、地域が抱える介護・農業分野の課題に本業の経営基盤をいかして向き合った同社の取り組みは、地方の建設企業が新分野に挑む際の一つの参考例といえる。
FAQ
株式会社奥田工務店はどのような会社ですか
滋賀県蒲生郡日野町に本社を置く総合建設会社で、住宅から高層マンション、公共施設、道路整備まで幅広い工事を手がけている。自社ウェブサイトで事業内容を紹介しており、現在も地域に根ざした建設会社として事業を続けていることが確認できる。
なぜ建設会社が介護・農業分野に進出したのですか
本業の建設事業で堅調な業績を維持していたことを背景に、その経営基盤をいかして新たな収益源を模索したため。介護分野では以前から社会福祉法人として運営してきた実績があり、農業分野では地元農地の荒廃という地域課題への対応という側面もあった。
介護事業はどのように展開されましたか
グループホームやデイサービスなどを行う施設「ゆめさと」を社会福祉法人として運営してきた実績を土台に、株式会社としても事業を本格化させる計画が進められた。福祉事業を専門に手がける関連会社を新設し、一級建築士の施設長のもとで運営体制を整えた。
農業分野への参入はどのような形で行われましたか
本業の土木部の一部を農業部と位置づけ、農家出身の従業員が持つ知見を社内で共有しながら、休耕地を活用した稲作事業に取り組んだ。後継者不足による地元農地の荒廃という課題への対応という意味合いもあった。
取り組みに課題はありましたか
農業部門は赤字が続いており、稲作に加えて地元特産の薬草栽培の再興が検討されるなど、収益化に向けた模索が続いていたことが記録されている。株式会社と社会福祉法人との間の税制上の違いも、事業運営上の論点として挙げられていた。
現在の状況は
株式会社奥田工務店は現在も滋賀県日野町を拠点とする総合建設会社として事業を継続しており、自社ウェブサイトで最新の事業内容を確認できる。