株式会社日栄工業(北海道苫小牧市)持株会社方式で新分野に挑んだ設備工事会社の事例
北海道苫小牧市の株式会社日栄工業は、公共工事に依存した従来型の建設業経営を見直すため持株会社方式を導入し、高齢化社会やITをキーワードとした新規事業の多角化に取り組んだ。
公共工事依存からの脱却を目指して
北海道苫小牧市に本社を置く株式会社日栄工業は、冷暖房・換気・空調設備や給排水・衛生設備、土木工事、浄化槽工事などを手がける地域の設備工事会社である。同社は、公共工事に過度に依存した従来型の建設業経営のあり方を見直すため、持株会社方式を導入して事業の多角化に取り組んだ事例として、建設業の新分野進出・経営革新等モデル構築支援事業に選定されている。
商法改正を契機に持株会社方式に着目
きっかけとなったのは、商法改正によって解禁された持株会社方式だった。当時の同社経営陣は、3年・5年・10年後を見据えた中長期的な視点から、創造的で革新的な事業を本格化させたいと考えており、中小企業にも当てはまる持株会社の形態やその効果について、専門家への調査依頼と社内での事業戦略会議を重ねながら検討を進めた。
高齢化・IT・中国をキーワードに三つの新規事業
検討の結果、「高齢化社会」「セキュリティ」「アメニティ」「IT」「環境・リサイクル」「中国」といった当時の社会的なキーワードに沿って、三つの新規事業が多角的に展開された。一つ目は高齢者向けのトイレ・バスルームなどのアメニティ設備とセキュリティ設備事業、二つ目はITを活用した緊急通報システムの開発事業、三つ目は中国における事業展開である。資産管理を担うグループ会社を持株会社に位置づけ、浄化槽管理や管工事・ビルメンテナンス、トイレ総合メンテナンスのフランチャイズ本部などを手がける複数のグループ企業と連携する体制が構築された。
高齢者向けアメニティ事業が軌道に
三つの新規事業のうち、最も進展を見せたのが高齢者向けのアメニティ・セキュリティ事業である。病院をはじめとする施設や飲食店など新たな顧客層の開拓に成功し、道東の釧路、道南の函館、道北の旭川といった苫小牧以外の地域にも販売エリアを拡大した。取り組み当時の売上高は年間1,500万円を超える規模まで成長し、事業として一定の自立を果たしたことが記録されている。一方、IT活用の緊急通報システム開発は一時的に中断し、中国での廃棄物ビジネスについても現地企業との提携計画を見直す段階にあったという。
本業を維持しながら新分野に挑む経営手法
持株会社方式を採用した狙いは、給排水・衛生設備工事や土木工事といった本業を維持しながら、新規事業を効果的に展開できる体制を築くことにあった。グループに参加する各社が情報交換や技術面で相互に補完し合える関係を築いたことも、事業の推進力になったとされる。今後の方針としては、軌道に乗りつつあったアメニティ・セキュリティ事業への注力と、販売エリア拡大に伴う経費増加への対応、そして持株会社そのものの株式会社化などが挙げられていた。
現在も苫小牧を拠点に事業を継続
株式会社日栄工業は現在も北海道苫小牧市を拠点に、水道・空調・冷暖房・換気・給排水設備の修理や工事を手がける設備工事会社として事業を続けている。公共工事への依存から脱却し、地域の高齢化やインフラ需要の変化に対応した新分野を模索した同社の経験は、同様の課題を抱える他地域の設備工事業者にとっても参考になる事例の一つといえる。
FAQ
株式会社日栄工業はどのような会社ですか
北海道苫小牧市に本社を置く設備工事会社で、冷暖房・換気・空調設備や給排水・衛生設備、土木工事、浄化槽工事などを手がけている。現在も水回り設備の修理・工事を行う地域企業として事業を続けていることが確認できる。
なぜ持株会社方式を導入したのですか
公共工事に過度に依存した従来型の建設業経営を見直し、中長期的な視点で創造的な新規事業を展開するための体制づくりを目的としていた。商法改正によって持株会社方式が解禁されたことが直接のきっかけになったとされる。
どのような新規事業に取り組みましたか
高齢者向けのトイレ・バスルームなどのアメニティ設備およびセキュリティ設備事業、ITを活用した緊急通報システムの開発事業、中国における事業展開という三つの分野に多角的に取り組んだ。
新規事業の成果はどうでしたか
高齢者向けアメニティ・セキュリティ事業は病院や飲食店などへの販路拡大に成功し、釧路・函館・旭川といった周辺地域にも展開する規模まで成長した。一方、IT関連事業は一時中断し、中国事業も計画の見直し段階にあったことが記録されている。
グループ企業との連携はどのように行われましたか
資産管理を担う関連会社を持株会社として位置づけ、浄化槽管理や管工事・ビルメンテナンス、トイレ総合メンテナンスのフランチャイズ本部を手がける複数のグループ企業と、情報交換や技術面で補完し合う体制を構築した。
現在の状況は
株式会社日栄工業は現在も北海道苫小牧市を拠点に、水道・空調・給排水設備の修理や工事を行う企業として事業を継続している。