「私たちの主張」 - 未来を創造する建設業

  • 宇田川 桜
      小学校低学年の頃から、週末に新聞に折り込まれる住宅情報を眺めることが好き、という少し変わった子供でした。その頃はただ漠然と、家の外観や間取りに惹かれ、“自分が住むとしたら” という視点から家を見ていました。
      中学生になって、進路や進学を考え始めたとき、明確に仕事として家づくりに携わりたい、と思うようになりました。先日、中学時代の友人に会い、住宅を造る仕事をしていることを伝えると、「あの頃からの夢をかなえているんだね。」と驚かれました。周囲に夢を話していたこと、中学生の頃から家をつくりたいと思っていたこと、様々なことを思い出し、初心に立ち返ったような、不思議な気持ちになりました。
      この業界に入る事は、子供の頃から決まっていたような、どこか必然的なものがあるのかな、と今になって感じています。
      この会社に入って、住宅建築に関わるようになって、三年目になりました。仕事を始めて一番驚いたのは、一軒の家を作り上げるのに必要な工程の多さです。先輩は、大きなビルを一棟建てるにも、住宅を一軒建てるにも、大きさが違うだけで同じ位の手順が必要なんだと説明してくれました。私はまだ住宅以外の施工に携わった事はありませんが、住宅工事の工程の多さには、日々翻弄されています。
      会社の中で、住宅建築に携わる人はごく少数なので、営業の段階からお施主様と接し、間取りなどの打合せを重ね、着工してからはお客様・職人さんと交互に打合せをしながら工事を進めていきます。お施主様との出会いから、住宅の完成までのすべてに関わることができるという事は、簡単にできる経験ではないと思っています。
      また、自分が考えた間取りやデザイン、イメージをお施主様に気に入っていただけたときの嬉しさは、何物にも代えがたいものがあります。
      もちろん、仕事をしていく上では大変なことや辛いこともあります。工事は、その住宅だけが安心安全であればいいという訳はなく、周囲の住民の方への音や振動等の迷惑もおかけしますし、工事の車が多く通るので、近隣の道路でもたくさんの方に迷惑をおかけしてしまいます。自分が十分気配りをしたと思っていても、近隣に住む方にとっては十分でないことも多々あります。それでも、近隣の方に「ご苦労様」「暑いのに頑張ってるね」という言葉をかけていただくことや、お施主様に「いつもありがとう」という言葉をかけていただくことで、日々とても助けられています。
      工事の中では、当初の計画通りいかないこともしばしばで、職人さんにも的確な指示を出すことができなかったり、伝達ミスで間違った仕様で進んでしまったり、日々ミスの連続です。先輩や職人さん達には、沢山迷惑をかけてしまっていますが、未熟な私に忍耐強く付き合って下さり、本当に感謝しています。
      建設業にも女性が増えてきて、けんせつ小町と呼ばれたりしていますが、私は仕事中に女性の技術者の方とお会いすることはほとんどありません。まわりに女性が少ないこともあり、会社の上司や職人さんに、気を遣って頂くこともまだまだあります。力も体力も、男性との根本的な違いを感じることも多く、女性だから、と気を遣われてしまうのは、少し悔しいところでもあります。
      しかし、住宅建築に関しては、女性だから不利、ということばかりではないと思っています。家を建てるにあたり、家事・育児を主に行う奥様は、細部までこだわられることが多いように感じます。初めて顔合わせをした際、奥様から「女性がいてよかった」と安心して頂けたり、こだわりたい部分を私に相談してくださったりすると、自分がこの仕事をしている意義を感じることができています。お客様のお子様と、打合せ中に遊んだり、可愛らしい絵や、お手紙を貰ったりすることもあります。いただいた絵やお手紙は、財布に入れていつも持ち歩き、疲れた時や辛い時の癒やしになっています。
      この仕事のやりがいは、お客様に喜んでいただくこと、そしてお客様と創り上げた思いが、住宅という形になって、その場所に残る事だと感じています。
      人生の大半を過ごす、“ 家” を創るという事は、これからのお客様の暮らしを創る事、と言っても過言ではないと思います。子供の頃、間取りを眺めながら考えていた“ 自分が住むとしたら” という思いを心の隅に常に持ち、関わらせていただく全ての住宅を、自分の家を創る位の気持ちでこだわり、出会ったときの「女性がいてよかった」に「あなたがいて良かった」を少しずつ足していただけるよう、日々努力を続けていきたいと思います。