• 矢野 莉央
      私が建設業に興味を持ったのは父の影響でした。私が幼い頃から父はどろどろに汚れた作業服を着て朝早くから現場に行き、夜になると夜勤の仕事に行っていました。一緒にいられる時間こそ少なかったけれど、休みの日には、従業員の人たちも一緒にバーベキューをしたり、仕事終わりにみんなに遊んでもらってさみしいとは思った事がありませんでした。父にはたまに現場に連れていってもらうこともありました。いつもとは全然違った顔つきで仕事をしている姿はとてもかっこよかったです。私が中学生になると、仕事の手伝いをさせてもらえるようになりました。実際に、現場仕事を間近で見て、経験して、どんなに暑い日も寒い日も朝早くから外で仕事をしている父や従業員の人たちは本当にすごいなと思いました。私は基礎の仕事を手伝っていて、メタルのそうじや溶接の手伝い、家ではアンカーボルトに印をつけたりと、どれも大変で最初はどうしてみんなこんなに必死にがんばれるのだろう。と少し疑問もありました。でも、みんなと何日か過ごしていて、この仕事は本当にすごい仕事なんだな。と身にしみて実感できた時があります。それは一つの現場が完成した時です。最初は本当に何もなかった土地がたくさんの人の手によって、少しずつ出来上がっていって、完成した時の達成感は今まで味わった事のないくらいすごくてとてもやりがいを感じられました。そして、私がアンカーボルトに印をつけていた時に祖父が言っていた事を思い出しました。
     「これが1mm ずれるだけで家は建たへんのやぞ」
     その時はただ言われるがまま言われた事をしていたけれど、その時わかった気がします。私は、家が建つというゴールのほんの基礎の部分にしかたずさわっていないけど、ほんの基礎の部分に、基礎を仕事としている人たちのたくさんの思いが込められている事を感じました。確かに家が建つと基礎の部分は何も見えません。でもそこには、1mm のずれも許されない正確さと、そこまでたどりつく月日がありました。私はこの仕事にたずさわる事が出来たのを誇りに思っています。
     私は今、建設科に入って、測量や製図、設計や構造について学んでいます。全てが初めての事ばかりで苦手な事もあるけど、新しいことを学ぶのはとても楽しいです。基礎の現場で学んだ事は今、すごく良い経験として生かせています。私はいつか自分の住みたい家を設計する事が一つの夢であり目標です。これから三年間工業について学ぶにあたって、私は何事にも挑戦し、自分の力にしていきたいです。工業系と言うのもあり、女の私には色々と苦戦する事があると言う事も経験しました。でも、それを理由に投げ出したくはないし、私だからこそ出来る事をたくさん見つけ将来につなげていきたいです。