「私たちの主張」 - 未来を創造する建設業 - 委員講評

  • 運営委員長 藤澤好一
     3.11に発生した東日本大震災とその後の大津波、そして原子力発電所の事故による災害は未曾有といわれるものであり、人々の生活や働き方に大きな影響を及ぼしたばかりではなく、そのありかた、とらえかたを大きく転換させることにもなりました。

     この「私たちの主張」も、大震災の影響で例年より3カ月近く遅れての公募となりましたが、362件もの応募がありました。とくに東北地方からは災害救助や復旧に携わったことを通して、建設産業の役割の重大さ、その仕事のやりがいについ述べられたものが多く、それらから高い割合で優秀作や佳作が選ばれました。

     大臣賞に輝いた柿崎赳さんの「建設業の3K」は、東日本大震災の災害復旧に携わった体験をもとに建設産業のイメージの転換を訴えた点が高く評価されました。災害復旧にあたって必死に活動する様子を巧みな文章で綴るとともに、これまで3K(きつい、汚い、危険)ととらえてきた仕事によって生み出される3K(感謝・感激・貢献)の大きさこそが、建設産業の素晴らしいところであり、誇りとすべきだという若者らしく、頼もしい主張です。

     もう一人の大臣賞の若い女性の小山理絵さんは、「建物を造る喜び」として、新しいタイプの木造建築の建設に携わって得た完成時の喜びを綴っています。学校では学べなかった現場での経験や職人さんたちとの交流を通じて学んだこと、木造建築と森林保全との関係など、若い女性として感じたしごとのやりがいと抱負が述べられています。

     局長賞には次の三人が選ばれました。村瀬淳さんの「少年と老人から学んだ思い」は、道路改良工事に従事した時の地域の人々とのほのぼのとした交流を綴り、自分の仕事の地域への貢献、現場を訪ねてくる少年の将来やりたい職業となったことを誇らしく語っています。大泉尚之さんの「仕事に対する思い」は、東日本大震災による津波被害で損傷を受けた住宅を新たに建設したり、補修したりするのではなく、解体しなければならないという作業に従事して感じた苦痛の思いが、自分への感謝の言葉で喜びに代わり、建設業の仕事を選んで良かったと綴っています。杉田瑞穂さんは、「建築という道へ進んで」きた経験をふりかえって、一つの建物を完成させるには様々な役割をもつ人たちの協力が必要であり、どれ一つも欠かせない大切で重みのある仕事なのだと述べています。大工だった祖父と父の仕事に憧れ、大工になり、その後、建設会社の積算の仕事についたというキャリアをもつだけに説得力があります。

     建設産業を支えているのは、いうまでもなく建設の現場で働く技能職、技術職の人たちです。その仕事は実にさまざまで、携わる人々の数だけ苦労があり、頑張りや努力があるのです。そして、それが報われたときは喜びや感動となり、やりがいのある仕事だと感じるのです。目指すところ、臨みかた、夢のもちかた、それらが果てしなく広がっていくのがこの仕事に就いた人々のやりがいにつながっているのだと思いながら、寄せられた作品を読みました。入賞者をはじめ多くの方がこの仕事のやりがい、達成感とよろこび、誇りなどを語っています。その対極には辛い、厳しい建設産業の現実があります。それらに対する改善提言などもみられました。改善がすすみ、より働きがいのある職場となることを願っています。