自社にフィットした 戦略を見出そう
 企業経営では、自社にとって何が大切か「焦点」を絞ることが肝心ですが、経営資源の限られている中小企業においてはそのことがとくに重要になってきます。
 ここで採り上げられたIT、ISOなどは経営のツール(道具や手法)であり、補助金、特許などもその周辺にあるといえます。良い道具は、それを使えば魔法のようにすべてが解決できるように見えますが、それは大いなる誤解です。
 補助金を申請するときもISOに取り組むときも計画を作りなさい、と言われます。その意味は、計画そのものが大切なのではなく、計画づくりの過程で自社の課題がはっきり見えてくるからだと私は考えています。
 経営課題が何かがわかれば、それを解決するためにITやISOや補助金や特許戦略その他のツールを選べます。これらは、自分の身丈に合わせてつくらなければならない特注のスーツのようなものです。他社のものをそのまま、というのでは体型に合わないスーツをむりやり着ているようなもので、戦場で走り回る戦闘服にはなりません。
 建設業のISO9001がうまくいかない例が多いことも、そうした問題といえます。また、特許の取得も、目的を考えて行うことが必要です。知的所有権侵害を防ぐという受動的な目的なら、巨額の費用をかけるべきではないでしょう。
 地域の建設業界の苦しさはよく聞きます。ただし、苦しいと言っているだけでは何も変わりません。成功する企業は自分の体力があるうちに、新しい事業分野に挑戦を続けています。挑戦を続けなければ未来の生存が保証されないのです。新分野進出も「焦点」を大切にしながら展開することが求められています。
 そしてこうした挑戦に、このワンストップサービスセンターをはじめとする制度を使うことが望まれます。ひとりで悩んでいるより、だれかに相談することで自分の焦点が定まることも多いのですから。
伊藤 栄樹
伊藤 栄樹
福岡県 中小企業診断士
伊藤中小企業診断士事務所代表。ISOマネジメントシステムによる企業体質改善、情報を有効活用できる組織への変革などを指導領域とする。幅広い業種を対象に、活力ある組織づくり、管理者教育に指導実績多数。