




間伐材を活用した木毛魚礁を海中に沈める
魚礁に付着した海藻類を引き上げる

(株)哲建設は、細く削った間伐材を混ぜ込んだ木毛材セメント板を製造し、それを活用した魚礁と藻礁を開発し、平成10年から実証試験を行っている。作り出された魚礁は魚類の産卵場と稚魚の育成場になるので漁業に貢献できるほか、藻場となり水質と底質が改善されるため、環境にも貢献できる。
環境に貢献すると共に水産業、林業の振興を願う
近年、藻場の減少消失が確認されているが、沿岸地域の水質、底質を改善するには、藻場の維持拡大が急務。藻場に間伐材を活用した木毛魚礁及び木毛藻礁基盤材を開発、利用することで、環境に貢献すると共に、水産業、林業の振興と公共工事減少下における経営の安定化につながる。このような考えのもとに木毛魚礁及び魚礁基盤材の開発、実用化に取り組むこととなった。

陸から海へ、環境への適応と漁業組合などと協力
間伐材を活用した木毛魚礁を設置する作業は、「陸」から「海」に適応する環境が変化したことにより、克服すべき大きな課題となったが、地元漁業組合などの協力により解決することができた。また、数多くこなす必要がある実証実験は、県立大学、県産業技術センター、水産研究センターなどの協力がなければ、事業を円滑にスタートすることはできなかった。

独自に技術を開発、漁業振興、林業振興を図る
魚礁の基となる木毛藻礁基盤材は、間伐材をスライス片状に切削して得られる木毛を主材料としてセメントと水を必要に応じて藻類の育成に必要なミネラル成分を配合、混練し、成型したものである。主原料は間伐材という天然材料であるので、環境と親和性があり残留期間も有限であり、かつ藻や海草も付着、育成しやすいという特長がある。この魚礁に関して (株)哲建設は熊本県と共同で特許「自己消失型魚礁及びその製造方法」を取得している。

産学官連携における共同作業で事業を推進
木毛材料を以前から研究していた加藤氏(現在、(株)哲建設の技術顧問)が(株)哲建設、熊本県工業技術センターと共同で魚礁に応用することを発案。現在は熊本県立大学、水俣市漁業協同組合など、広範囲にわたり、産学官連携し木毛魚礁の実用化に向けて努力をしている。

セメントを利用して耐久性を上昇させる
素材強度をコントロールすることで、耐用年数を延ばすことが可能であり、これによって長期にわたる藻類の付着が可能になる。これまでの木材系魚礁は、フナクイ虫やキクイ虫の食害により、寿命が著しく短かったが、セメントを混練させることによって、それを防止し、耐久性が非常に高くなっている。木材の繊維をからみあわせて成型しているので藻類の根が張りやすい。素材表面に多種多様な生物層が出現し、魚類を集める効果が高い。

耐用年数の証明および商品化を目指す
現在、木毛藻礁基盤材を水俣湾に沈設して、従来のコンクリート板との比較実験を行っており、実証試験段階である。技術面では、ほぼ目処がついた段階にあるが、海中の構造物の耐用年数もしくは寿命は30年以上とされているので、これを証明し、クリアするために、努力を続けていきたい。また実用化した後、魚礁メーカーや自治体に販売することも次の段階の大きな課題である。
